顧客インタビューをどう分析する?|顧客の声から課題・要望・行動を整理する方法
はじめに
顧客インタビューをすると、
さまざまな声が集まります。
「こういう機能が欲しい」
「便利そう」
「もう少し安ければ使いたい」
「今のやり方でも困ってはいない」
こうした発言は、
商品やサービスを改善するうえで重要な材料です。
ただし、顧客が言ったことをそのまま結論にすると、
判断を誤ることがあります。
たとえば、
- 「欲しい」と言われたから、その機能を作る
- 「便利」と言われたから、需要があると判断する
- 「高い」と言われたから、値下げする
- 複数人が同じことを言ったから、最重要課題だと判断する
といった進め方です。
顧客インタビューでは、
発言・実際の行動・そこから考えられる仮説を分けることが重要です。
この記事では、
顧客インタビューの結果を整理し、次の判断に使える形へ変える方法を紹介します。
顧客インタビューは「答え」ではなく判断材料
顧客インタビューで聞けるのは、
基本的にはその人が話した内容です。
たとえば、
「月500円なら考える」
という発言があったとしても、
- 500円なら購入する
- 500円が適正価格
- 値下げすれば売れる
とまでは言えません。
同じように、
「また使いたい」
と言われても、
実際に再利用したわけではありません。
インタビューで確認した発言と、
実際に起きた行動は分けて考える必要があります。
発言と行動は別の証拠
たとえば、次のように整理できます。
| 顧客の情報 | 確認できること |
|---|---|
| 「便利だった」 | 利用後の肯定的な評価 |
| 「使ってみたい」 | 利用意向 |
| 「2,000円なら考える」 | 条件付きの購入検討 |
| 実際に2,000円を支払った | 実購入・支払い |
| 別の案件でも再度購入した | 実再利用・再購入 |
後ろに行くほど、
実際の行動に近い情報になります。
ただし、購入したからといって、
「なぜ購入したのか」まで自動的に分かるわけではありません。
まず顧客の発言を分類する
インタビュー結果が長くなると、
課題・要望・感想・購入意向などが混ざります。
そこで最初に、
発言を意味ごとに分けます。
たとえば、
「毎回メールを探すのが面倒。
Gmailから自動で取れるならもっと使いやすいと思う。」
という発言には、
少なくとも2つの情報があります。
- メールを探すのが面倒 → 課題・不満
- Gmailから自動取得したい → 機能要望
この2つを一緒にすると、
Gmail連携が必要
という結論へ飛びやすくなります。
しかし実際に確認できている課題は、
メールを探したり入力したりする負担です。
Gmail連携は、
その課題に対して顧客が挙げた一つの要望にすぎません。
分類しておきたい主な発言
顧客の発言は、たとえば次のように整理できます。
- 課題・困りごと
- 課題が起きる場面
- 頻度
- 影響
- 現在の対応
- 代替手段
- 現在方法への不満
- 価値評価
- 機能・改善要望
- 利用意向
- 購入意向
- 価格反応
- 再利用意向
- 実際の利用
- 実際の購入・支払い
- 実際の再利用・再購入
- 非利用・非購入理由
- 条件付き発言
特に、
「安ければ使う」
「自動なら欲しい」
「もっと正確なら使いたい」
といった条件付きの発言は、
条件部分を落とさないことが大切です。
顧客課題と機能要望を分ける
顧客インタビューで扱いを間違えやすいものの一つが、
機能要望です。
たとえば、
「Slack連携が欲しい」
という発言があったとします。
これだけでは、
- Slack連携がないことが重大な課題
- Slack連携が購入条件
- Slack連携を作れば売れる
とは判断できません。
一方、
「毎回Slackから必要な情報を探してコピーするのが面倒。
自動で取り込めると助かる」
という発言なら、
- 課題:Slackから情報を探して転記する負担
- 要望:Slack自動連携
と分けられます。
顧客の要望ではなく、その要望が出た背景を見ることが重要です。
「便利」と「買う」も分ける
試作品を見せると、
「便利ですね」
と言ってもらえることがあります。
これはもちろん悪い反応ではありません。
ただし、
便利と感じること
と
お金を払って利用すること
は別です。
実際には、
- 便利だとは思う
- でも今の方法でも困っていない
- そのため購入はしない
というケースもあります。
逆に、
- 大きな機能要望はない
- しかし現在の課題が具体的
- 実際に支払って利用する
というケースもあります。
そのため、
顧客インタビューでは評価だけではなく、
- 実際に使ったか
- 実際に購入したか
- 実際に支払ったか
- 実際に再利用したか
- 実際に再購入したか
まで分けて整理すると、
判断しやすくなります。
価格への発言もそのまま受け取らない
価格についても、
発言だけで判断しない方が安全です。
たとえば、
「1,000円はちょっと高い。
500円なら考える。」
と言われた場合、
確認できるのは、
- 1,000円に割高感がある
- 500円なら検討する可能性がある
という範囲です。
まだ、
- 500円なら購入する
- 500円が適正価格
- 値下げすれば購入率が上がる
とは分かりません。
また、
「高い」
と言った人が実際には購入していることもあります。
価格への感想と、
実際の購入・非購入理由も分けて考える必要があります。
複数人のインタビューは横並びで比較する
インタビュー人数が増えてくると、
次に知りたくなるのが共通点です。
たとえば、
- 購入者は案件数が多い
- 非購入者は案件数が少ない
- 複数人が自動連携を求めている
といった違いが見えてくることがあります。
ただし、ここでも注意が必要です。
共通していることと原因は違う
たとえば購入者3人全員が、
「過去の情報を探すのが大変」と話していたとします。
これは、
今回の購入者には情報探索の負担が共通していた
とは言えます。
しかし、
情報探索の負担が購入を引き起こした
とまでは言えません。
購入には、
- 案件数
- 課題の頻度
- 課題による影響
- 現在使っている代替手段
- サービスを使った効果
- 価格
など、複数の条件が関係している可能性があります。
反対の事例も残しておく
比較分析では、
多数派と違う人を除外しないことも重要です。
たとえば、
- 案件数が多い
- しかし今の共有シートで困っていない
- サービスは便利だった
- それでも購入しなかった
という人がいたとします。
この人は、
案件数が多いほど購入する
という仮説に合いません。
だからといって、
「例外」として捨てるべきではありません。
むしろ、
案件数だけでなく、
現在の代替手段で課題を解決できているかどうかも関係しているのではないか
と仮説を修正する材料になります。
反対事例は、
仮説を弱めるものではなく、より正確にする材料です。
比較条件が揃っているかも確認する
複数人を比較するときは、
全員について同じ情報が取れているとは限りません。
たとえば、
- Aさんはサービス説明だけ
- Bさんは試作品を利用
- Cさんは実購入まで確認
- Dさんだけ案件数や課題頻度まで詳しく聞いている
という状態なら、
単純に横並びにはできません。
特に、
詳しく聞いた人ほど課題が多く見える
ことがあります。
そのため、
- 誰が未利用か
- 誰が利用済みか
- 誰が購入済みか
- 誰について何を確認したか
- 未確認の項目は何か
も整理しておく必要があります。
顧客インタビュー分析を3段階で進める
WorkPaletteでは、
顧客インタビューの分析を目的別に分けて進められます。
1. 顧客発言を分類する
まず、生の発言を、
- 課題
- 要望
- 価値評価
- 利用意向
- 購入意向
- 価格反応
- 実際の行動
などへ分類します。
長いインタビュー記録を、
判断しやすい材料へ変える工程です。
発言が長く混在している場合は、
まず「課題・要望・価値評価・購入意向・実際の行動」などへ分けて整理すると、
その後の分析がしやすくなります。
2. インタビュー結果を分析する
次に、
- 何が確認できたか
- 何がまだ仮説か
- 課題の強さを示す材料はあるか
- 発言と実際の行動は一致しているか
- 有料需要は確認できているか
を整理します。
「顧客が言ったこと」から、
何を根拠として使えるのかを確認する工程です。
発言や行動を整理した後は、
「何が確認できたか」「何がまだ仮説か」を分けて見る必要があります。
3. 複数人を比較する
複数のインタビューがある場合は、
- 共通点
- 違い
- 条件差
- 例外
- 購入者と非購入者の違い
- 比較できない部分
を横並びにします。
ここでは、
共通点をそのまま原因や優先順位に変えないことが重要です。
複数人の結果が集まったら、
共通点だけでなく違い・例外・比較条件のズレまで確認します。
インタビュー分析で最後に整理したいこと
分析後は、少なくとも次の3段階に分けると判断しやすくなります。
比較的強く確認できたこと
たとえば、
- 実際に利用した
- 実際に購入した
- 実際に再購入した
- 複数人で同じ課題が確認された
などです。
限定的に確認できたこと
たとえば、
- 一部の人だけで確認された
- 発言はあるが行動確認がない
- 条件付きの利用意向がある
といった情報です。
まだ仮説に留まること
たとえば、
- 案件数が多いほど購入する
- 自動連携を作れば売れる
- 500円なら購入する
- 特定の顧客層ほど需要が強い
といった因果や将来予測です。
この3つを分けるだけでも、
インタビュー結果から必要以上に結論を広げにくくなります。
まとめ
顧客インタビューでは、
たくさんの意見を集めること以上に、
得られた情報をどう扱うかが重要です。
特に意識したいのは、
- 発言と実際の行動を分ける
- 課題と機能要望を分ける
- 「便利」と「購入」を分ける
- 条件付き発言の条件を残す
- 共通点と因果関係を分ける
- 少数の結果を市場全体へ一般化しない
- 反対事例を捨てない
- 情報が揃っていない対象者を無理に比較しない
- 確認済みのことと仮説を分ける
ことです。
顧客の声は、
そのまま商品仕様や施策に変えるための答えではありません。
発言・行動・共通点・違いを整理して、
次の判断に使える証拠へ変えることで、
顧客インタビューをより活用しやすくなります。
