出店候補地はどう比較する?|人流・競合・賃料だけで決めず、複数物件を比べる方法

はじめに

店舗を出す場所を探していると、

「駅前のA物件は人通りが多そう」
「B物件は少し遠いけれど家賃が安い」
「C物件は2階だけど、広さは十分ある」

といったように、
複数の候補が残ることがあります。

このとき難しいのが、

どの候補を優先して調べるべきか

という判断です。

駅から近い。

  • 人通りが多い
  • 賃料が安い
  • 競合が少ない

どれも重要な情報ですが、
一つの条件だけで候補地の優劣を決めることはできません。

さらに注意したいのが、
候補ごとに調べられている情報量が違う場合です。

A物件だけ詳しい人流調査があり、
B物件は現地を少し見ただけだったとしても、

Aの方が情報が多い
=Aの方が良い立地

ではありません。

この記事では、
複数の出店候補地を比較するときに、

  • 何を同じ条件で比べるか
  • 何は直接比較できないか
  • 情報不足をどう扱うか
  • 人流・競合・賃料をどう見るか
  • 無理に1位を決めない方法
  • 次にどの候補を詳しく調べるか

を整理します。

候補地比較では「同じ条件で比べられるか」を先に見る

候補地を比較するとき、
最初にやるべきことは順位付けではありません。

まず、

候補同士を同じ条件で比較できる状態か

を確認します。

たとえば候補Aと候補Bについて、

候補Aは、

  • 平日昼に3日調査
  • 午後も人流確認済み
  • 競合店の混雑も確認済み

候補Bは、

  • 平日昼に1回だけ確認
  • 午後は未確認
  • 競合調査も一部のみ

だったとします。

この状態で、

Aの方が人流が多い

と判断するのは危険です。

確認されている情報量が違うからです。

「確認できている」と「優れている」は違う

候補地比較では、

Aでは確認できている
Bではまだ確認できていない

という差を、

Aは良い
Bは悪い

へ変換しないことが重要です。

Bは需要が弱いのではなく、
単にまだ調べていないだけかもしれません。

比較する条件を先に揃える

複数の候補を比較するなら、
店舗側の条件もできるだけ揃えておきます。

たとえばカフェなら、

  • 想定顧客
  • 想定客単価
  • 営業時間
  • 必要月商
  • 席数
  • 店舗規模
  • PC作業客を狙うか
  • テイクアウトを狙うか

などです。

同じ店舗を出す前提なのに、
候補Aだけ客単価1,000円、
候補Bだけ1,300円で計算すれば、
純粋な立地比較ではなくなってしまいます。

まず共通条件を置いたうえで、
候補ごとの差を見る方が比較しやすくなります。

駅から近い候補をそのまま1位にしない

駅からの距離は、
店舗立地では分かりやすい条件です。

たとえば、

  • 候補A:駅徒歩2分
  • 候補B:駅徒歩7分

なら、
Aの方が有利に見えます。

しかし、
距離だけでは判断できません。

駅距離と導線は別

駅から2分でも、

  • 人があまり通らない方向
  • 大きな道路を渡る
  • 建物の裏側
  • 入口が見えにくい

ことがあります。

反対に徒歩7分でも、

  • オフィスから住宅へ向かう動線
  • スーパーや公園の近く
  • 地域住民が日常的に通る

場所かもしれません。

そのため、

駅徒歩○分

だけでなく、

誰が、どこから、どこへ移動する途中なのか

を見ます。

人流は「多い・少ない」だけでは比較できない

候補Aでは調査会社が通行量を計測し、
候補Bでは自分で現地を見ただけ。

このようなケースでは、
人流をそのまま横並びにできません。

調査条件を確認する

人流を見るときは、

  • 調査地点
  • 曜日
  • 時間帯
  • 調査日数
  • 計測方法
  • 通行方向
  • 属性

を確認します。

たとえば、

Aは平日12〜18時
Bは平日12〜14時

しか確認していないなら、
午後需要を直接比較することはできません。

人流が多い=来店数が多い、ではない

通行人数が多くても、

  • 店舗に気付くか
  • 入店する理由があるか
  • 価格が合うか
  • 競合を選ぶか
  • 急いで通過する人が多いか

によって来店数は変わります。

人流は重要な材料ですが、
売上そのものではありません。

競合が多い候補と少ない候補、どちらが良い?

競合店の数も、
候補地比較でよく使われる条件です。

候補Aにはカフェ8店。

候補Bには2店。

この数字を見ると、

Bの方が競争が少なくて良さそう

と考えたくなるかもしれません。

しかし、
競合数だけでは判断できません。

競合が多い場所

競合が多い場所には、

  • カフェ利用者が多い
  • 商業地として人が集まる
  • 店舗利用の習慣がある

可能性があります。

一方で、

  • 強いチェーンが多い
  • 顧客の選択肢が多い
  • 差別化しにくい

可能性もあります。

競合が少ない場所

競合が少ない場所には、

  • 未充足需要がある

可能性もあります。

しかし、

  • そもそも需要が少ない
  • カフェ利用習慣が弱い
  • 人通りが少ない

可能性もあります。

つまり、

競合が多い=悪い

でも、

競合が少ない=狙い目

でもありません。

競合調査の深さが違うなら店舗数を比べない

さらに注意したいのが、
調査方法の違いです。

候補Aでは、

  • 地図
  • 公式サイト
  • 現地調査
  • 商業施設情報

まで確認。

候補Bでは、
現地で見つけた店舗だけ。

この状態で、

Aは8店、Bは2店だからBの方が競合が少ない

とは言えません。

Bでは、
単に競合がまだ見つかっていないだけかもしれません。

確認件数と実際の店舗数を分けることが重要です。

「混雑している競合」は強い材料だが、答えではない

競合店が何度調べても混雑しているなら、
その時間帯に店舗利用があることを示す材料になります。

たとえば、

  • 平日昼に満席
  • 午後にもPC作業客がいる
  • 休日も利用客が多い

といった情報です。

これは単なる店舗数より、
需要を考える材料として強くなります。

ただし、

競合が満席
=自分の店にも客が流れる

とは限りません。

その競合が選ばれている理由や、
満席時に顧客がどう行動しているかまでは別途確認が必要です。

賃料が安い候補をそのまま優先しない

候補地比較では、
賃料差も大きな判断材料です。

たとえば、

  • 候補A:月95万円
  • 候補B:月58万円
  • 候補C:月62万円

なら、
Bが魅力的に見えます。

しかし、

賃料が安い=採算が良い

ではありません。

賃料と売上可能性を分ける

賃料が低くても、
売上も大きく下がるなら、
採算が良いとは限りません。

反対に、
高い賃料でも売上と利益が十分に増えるなら、
成立する可能性があります。

見るべきなのは、

安いか高いか

ではなく、

追加コストに見合う売上・利益を作れるか

です。

共益費なども含めて比較する

賃料だけを見ると、
固定費を過小評価することがあります。

たとえば候補Aが、

  • 賃料95万円
  • 共益費8万円

なら、
確認できている月額物件費は103万円です。

必要月商550万円なら、

103万円 ÷ 550万円
=約18.7%

と計算できます。

これは比較材料になります。

ただし、

18.7%だから高すぎる

とは限りません。

原価、人件費、水道光熱費、
その他の固定費が分からなければ、
採算全体はまだ判断できません。

保証金も候補によって大きく違う

月額費用だけでなく、
契約時に必要な資金も確認します。

たとえば、

賃料95万円 × 10か月

なら、
保証金だけで950万円です。

賃料62万円 × 8か月なら、
496万円です。

月々の負担だけでなく、
出店時に必要な資金も候補間で変わります。

ただし、
初期工事費が分からない状態では、

どちらの初期投資が小さい

とはまだ判断できません。

必要売上は全候補で共通条件として計算する

店舗条件が同じなら、
必要な会計数も候補間で揃えて比較できます。

たとえば、

  • 必要月商:550万円
  • 想定客単価:1,100円

なら、

550万円 ÷ 1,100円
=月5,000会計

です。

つまり、
どの候補でも基本的には、
月5,000会計を作れるかを考えることになります。

営業日数が未定なら1日必要客数を作らない

営業日数がまだ決まっていないなら、

月5,000会計だから1日○人

と具体化してはいけません。

営業日数をD日とすると、

1日必要会計数
=5,000 ÷ D

です。

営業日数が決まってから、
具体的な数字にします。

席数が多い候補が有利とも限らない

候補Aが32席、
候補Bが34席、
候補Cが36席。

席数だけを見ると、
Cが有利に見えるかもしれません。

しかし、
席数が増えると、

  • 必要な面積
  • 家具
  • 空調
  • 清掃
  • 人員
  • 光熱費

などが増える可能性があります。

また、
PC作業客が長時間滞在するなら、
席数が多くても回転は上がらないことがあります。

そのため、

席数が多い=売上を作りやすい

とは限りません。

2階物件は候補から外すべき?

候補の中に2階物件があると、

1階より不利だから外そう

と考えたくなることがあります。

確かに、
2階店舗には、

  • 通りがかりで入りにくい
  • 店内が見えにくい
  • 階段やエレベーターを使う必要がある

といった不利が生じる可能性があります。

しかし、

2階=集客できない

ではありません。

2階物件で確認したいこと

見るべきなのは、

  • 1階から看板が見えるか
  • 入口が分かりやすいか
  • エレベーターがあるか
  • ビル自体に飲食利用があるか
  • 目的来店が期待できるか
  • 実際に2階まで上がる人がいるか

などです。

つまり、

2階だから除外する

のではなく、

2階への来店転換がどの程度起きるかを調べる

という考え方ができます。

情報不足は「弱み」ではない

候補比較で特に注意したいのが、
情報不足の扱いです。

候補Aは詳しく調査済み。

候補Bはまだあまり調べていない。

この状態で、

Aは○
Bは不明だから△

とすると、
調査量が評価点になってしまいます。

情報不足は、
悪い結果ではありません。
まだ結果が分からない状態です。

情報不足は「次に調べる理由」になる

むしろ、
判断を大きく変える可能性がある情報が欠けているなら、
その候補を先に調べる価値があります。

たとえば、

Bは賃料が低いが、平日午後の需要が不明

なら、

Bは弱い候補

ではなく、

午後需要を確認すれば評価が大きく変わる候補

と考えられます。

詳しく調べられている候補を自動的に勝たせない

候補Aだけ、

  • 人流調査あり
  • 競合調査あり
  • PC作業利用確認済み
  • 新規出店情報あり

だった場合、
Aが魅力的に見えます。

しかし、
ここで分かっているのは、

Aは評価材料が多い

ということです。

Aが最も優れている

ことではありません。

この二つを分けるだけでも、
候補地比較の精度はかなり変わります。

総合点を作らない方がよい場合もある

複数候補を見ると、

人流20点
賃料20点
競合20点
合計80点

のようなスコアを付けたくなることがあります。

しかし、
重み付けに根拠がなければ、
数字が判断を正確にしてくれるとは限りません。

たとえば、

  • 人流を20点にする理由
  • 賃料を30点にする理由
  • 駅距離5分差を何点差にするか

を説明できなければ、
スコアは単なる主観の数値化になります。

そのため候補比較では、

  • 有利な可能性がある点
  • 不利な可能性がある点
  • 明確なトレードオフ
  • 比較できない項目
  • 未確認事項

として整理する方法が使えます。

無理に1位を決めなくてよい

候補地比較の目的は、
必ず1位を決めることではありません。

たとえば、

候補Aは、

  • 需要材料が多い
  • 駅近
  • 固定費が高い

候補Bは、

  • 固定費が低い
  • 需要調査不足

候補Cは、

  • 中程度の固定費
  • 商業エリア
  • 2階集客が未確認

という状態なら、
現時点で出店順位を決める必要はありません。

むしろ、

次にどの不確実性を調べれば判断が進むか

を見る方が重要です。

「出店優先」と「調査優先」を分ける

候補Aを次に詳しく調べるからといって、

Aへ出店すべき

という意味ではありません。

たとえばAの賃料が非常に高いなら、

高い固定費を補える需要が本当にあるのか

を先に確認する価値があります。

反対にCなら、

2階への入店が成立するか

を確認すれば、
候補として大きく評価が変わるかもしれません。

つまり、

調査を優先する候補

と、

出店を優先する候補

は別です。

候補比較の判断は4つに分けられる

候補比較では、
次のように判断を整理できます。

PRIORITY

現在の情報から、
特定候補を次の調査・検証で優先する合理性がある状態です。

これは、

その候補へ出店する

という意味ではありません。

TIE

候補間に違いはあるものの、
現時点ではどれを優先するか決めるだけの証拠がない状態です。

HOLD

どの候補も、
さらに調査資源を使う根拠が弱い状態です。

DROP

明確な阻害要因が確認され、
特定候補を比較対象から外す合理性がある状態です。

PRIORITYは複数でもよい

候補地比較では、
一つだけをPRIORITYにする必要はありません。

たとえば、

Aは高固定費を補える需要があるか確認する
Cは2階への来店転換を確認する

というように、
複数候補を調査優先にすることもできます。

Bについては、
基本情報を揃えてから比較するといった判断もできます。

重要なのは、

一番良さそうな場所を選ぶ

ことより、

次の判断を最も進める調査へ資源を使う

ことです。

次に何を調べるべき?

比較できない状態なら、
候補ごとに別々の情報を増やすのではなく、
できるだけ同じ条件で調べ直します。

たとえば、

  • 同じ曜日
  • 同じ時間帯
  • 同じ調査時間
  • 同じ範囲

で、

  • 物件前通行人数
  • 想定顧客と思われる人数
  • 競合店舗
  • 競合の混雑
  • PC作業利用
  • テイクアウト利用

などを確認します。

これによって、
候補間の比較精度が上がります。

WorkPaletteで出店候補地を比較する

出店候補地を比較すると、

  • 人流
  • 駅距離
  • 競合
  • 賃料
  • 席数
  • 初期費用
  • 調査不足

など複数の条件が混ざります。

一つずつ見るだけでは、
「駅近だからA」
「安いからB」

といった単純な判断になりやすくなります。

WorkPaletteの「出店候補地比較」では、
次の流れで整理できます。

  1. 比較条件を整理する
  2. 候補ごとの需要材料を整理する
  3. 競合・代替環境を整理する
  4. 立地・集客条件を整理する
  5. 費用・採算条件を整理する
  6. 候補間の差・トレードオフを整理する
  7. 優先候補と追加検証をまとめる

比較では、
独自の総合点を作って無理に順位を決めません。

代わりに、

  • 何が比較できるか
  • 何が比較できないか
  • 各候補の強み候補
  • 各候補の弱み候補
  • 情報不足
  • 判断を変え得る未確認事項

を分けます。

そのうえで、

PRIORITY、
TIE、
HOLD、
DROP

を使って、
次にどこへ調査資源を使うか整理します。

まとめ

複数の出店候補地を比較するときは、

駅に近いからA

家賃が安いからB

2階だからCは除外

のように、
一つの条件だけで決めないことが重要です。

確認したいのは、

  • 同じ条件で比較できているか
  • 人流の調査方法は揃っているか
  • 競合調査の深さは同じか
  • 賃料以外の費用も確認できているか
  • 必要売上は同じ条件で計算されているか
  • 情報不足を不利と誤認していないか
  • 各候補のトレードオフは何か

です。

そして、
候補地比較で必ずしも出店先1位を決める必要はありません。

むしろ、

どの候補を次に詳しく調べれば、判断が最も進むか

を決めることが重要です。

候補Aが詳しく調べられているからといって、
Aが最良とは限りません。

候補Bの情報が少ないからといって、
Bが悪いとも限りません。

候補Cが2階だからといって、
出店できないとも限りません。

確認できている差と、
まだ調べていない差を分ける。

そのうえで、
同じ条件で追加調査を行い、
候補を少しずつ絞っていく。

これが、
複数の出店候補地を比較するときの基本です。

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