顧客が離脱する理由は?|利用停止・解約の原因を決めつけずに分析する方法
はじめに
商品やサービスを使っていたユーザーが離脱すると、
「価格が高かったのでは?」
「機能が足りなかった?」
「競合に乗り換えた?」
「そもそも価値を感じてもらえなかった?」
と原因を考えたくなります。
ただし、
「使われなくなった」「解約された」という結果だけでは、離脱理由までは分かりません。
たとえば、
- 案件数が減って使う機会そのものがなくなった
- 会社の方針で別ツールへ統一された
- 忙しくなって利用習慣が途切れた
- 利用頻度が下がり、月額料金が見合わなくなった
- 別のツールへ業務をまとめることになった
- 欲しい機能はあったが、それが離脱理由だったかは分からない
というケースは、
すべて同じ「離脱」でも意味が違います。
重要なのは、
最初から原因を決めるのではなく、
どこから利用が弱くなったのか
と、
なぜ利用停止・解約したのか
を分けて見ることです。
この記事では、
顧客の利用行動と発言をもとに、
離脱理由を決めつけず分析する方法を整理します。
まず「離脱」を一つの状態として扱わない
「離脱したユーザー」といっても、
実際にはさまざまな状態があります。
たとえば、
- 初回利用だけで戻ってこなかった
- 数回使ったあと利用しなくなった
- 数週間継続したあと頻度が落ちた
- 高頻度で使っていたが突然止まった
- 利用は止まったが契約は残っている
- 利用頻度が落ちたあと解約した
- 長期間利用したあと別ツールへ移行した
では、
確認すべきことが違います。
そのため最初に、
「解約した」という最終結果だけを見るのではなく、
利用開始から離脱までの流れを見る
必要があります。
離脱分析では「どこで止まったか」と「なぜ止まったか」を分ける
離脱分析で起きやすいのが、
利用が止まった場所と原因を同じものとして扱ってしまうことです。
たとえば、
初回利用後に戻ってこなかった
ことは確認できても、
オンボーディングが悪かった
とはまだ言えません。
同じように、
数か月使ったあと利用頻度が下がった
からといって、
商品価値が下がった
とも限りません。
まず確認したいのは、
- 利用開始できたか
- 初期設定を完了したか
- 中心機能を使ったか
- 再利用したか
- 一定期間継続したか
- いつ利用頻度が下がったか
- いつ利用停止したか
- いつ解約したか
です。
ここでは、
まだ原因を決めません。
初回利用後の離脱と長期利用後の離脱は分けて考える
初回利用後に止まるケース
初回利用後に止まっている場合、
- 初回体験
- 初期設定
- 利用方法の理解
- 次に使う場面の理解
- 利用するきっかけ
- 既存手段で十分だった
などが候補になります。
ただし、
初回利用後に止まった
=オンボーディングが悪い
とは限りません。
初回利用までは問題なく進んでいても、
そもそも繰り返し使う必要がなかった可能性もあります。
長期間使ったあとに止まるケース
数か月使ったユーザーが離脱した場合も、
長く使ったあとに辞めた
=徐々に商品価値がなくなった
とは限りません。
たとえば、
- 担当案件が減った
- 顧客数が減った
- 部署が変わった
- 会社指定ツールへ統一された
- 他の業務までまとめられるツールへ移行した
- 利用量が減り、月額料金に見合わなくなった
といった外部条件の変化でも利用は止まります。
長期間利用されていた事実は、
少なくとも一定期間は実務上の利用機会があったことを示します。
しかし、
それだけで現在も同じ利用価値があるとは言えません。
顧客の発言をそのまま離脱理由にしない
離脱時のインタビューや問い合わせでは、
- 「高い」
- 「忙しい」
- 「今は必要ない」
- 「最近あまり使っていない」
- 「この機能が欲しい」
- 「別のツールも試している」
といった発言が出ることがあります。
これらは重要な情報ですが、
そのまま離脱理由とは限りません。
「高い」と言われた場合
「高い」と言われると、
価格が原因だと考えやすくなります。
しかし、
月額4,980円は高い
と、
最近は週1回しか使わないので、月額4,980円を払い続けるほどではない
では意味が違います。
後者は、
絶対的な価格ではなく、
利用量と料金のバランス
が問題になっている可能性があります。
同じ価格でも、
毎日のように使っているユーザーは高いと感じないこともあります。
そのため、
価格そのもの
と、
現在の利用量に対する費用対効果
は分けて考えます。
機能要望があっても、機能不足が離脱理由とは限らない
離脱したユーザーから、
「Slackとの連携がもっと強いといい」
と言われていたとしても、
Slack連携不足が原因で解約した
とはまだ言えません。
その機能がない状態でも、
数か月間使い続けていた可能性があります。
また、
解約時には別の理由が強く影響していたかもしれません。
確認したいのは、
- その機能がないことで何ができなかったのか
- 利用頻度低下と時期が一致しているか
- 本人が離脱理由として明言したか
- その機能があれば継続したと確認できるか
- 同じ機能がなくても継続している人がいるか
です。
「欲しい機能」と「離脱理由」は分けて扱います。
競合へ移ったからといって、競合が全面的に優れているとは限らない
別サービスへ移行した場合、
競合に負けた
と考えたくなります。
しかし確認できるのが、
「今後はこちらの案件管理ツールを使うので解約する」
という事実だけなら、
分かるのは別のツールを選んだことまでです。
たとえば、
- 案件管理まで一つにまとめられる
- 会社ですでに導入されている
- 他部署と共通で使える
- 契約を一本化できる
- 既存業務へ組み込みやすい
といった理由かもしれません。
競合へ移った事実と、
競合が商品全体として優れていることは別です。
会社都合による離脱も商品問題と分ける
BtoBサービスでは、
個人の評価とは別に、
- 会社指定ツールへの統一
- 部署変更
- 担当業務変更
- プロジェクト終了
- 予算変更
などによって利用が止まることがあります。
たとえば、
「会社で利用ツールを一本化するので解約します」
と明言されているなら、
少なくとも本人の直接的な解約理由は会社方針です。
ただし、
会社がなぜそのツールを選んだのかまで分からなければ、
商品側には何の問題もなかった
とも断定できません。
確認できている範囲を超えて結論を出さないことが重要です。
「忙しい」も離脱理由とは限らない
利用停止前に、
「最近忙しい」
と言われていた場合、
忙しさと利用低下の時期が一致していれば、関係している可能性はあります。
ただし、
- 忙しいとサービスを開けなくなる
- 忙しいと設定作業が負担になる
- 忙しいと既存手段へ戻る
- 忙しいと利用する必要自体が減る
では意味が違います。
そのため、
忙しかったこと
と、
忙しさがどのように利用停止へつながったのか
を分けて確認します。
利用頻度が下がっただけでは商品価値低下とは言えない
利用頻度は重要なデータですが、
理由そのものではありません。
たとえば、
週5日利用
→週1日利用
→利用停止
という変化があったとしても、
そこから分かるのは「利用が弱くなった」という事実です。
原因としては、
- 利用する業務が減った
- 課題自体が減った
- 既存手段へ戻った
- 使う習慣が切れた
- 費用対効果が合わなくなった
- 機能や運用方法が合わなかった
など複数考えられます。
利用頻度低下を見つけたら、
そこを原因分析の入口にします。
本人が明言した理由と原因候補を分ける
離脱分析では、
情報を少なくとも次のように分けると整理しやすくなります。
確認できている離脱理由
本人が、
「会社指定ツールへ移行するので解約する」
「今の利用頻度では月額を払い続けるほどではないので解約する」
のように、
理由と停止・解約を直接結びつけているものです。
比較的有力な理由
本人の明言はないものの、
- 発言
- 行動
- 利用頻度変化
- 離脱直前の出来事
が比較的一致しているものです。
仮説段階の理由
可能性はありますが、
それを裏付ける情報がまだ少ないものです。
現在の情報では支持できない理由
たとえば、
「高いと言われたから価格が原因」
「機能要望があったから機能不足が原因」
「使わなくなったから価値がない」
など、
現在の情報ではそこまで言えないものです。
この区別をすると、
もっともらしい仮説を事実のように扱うリスクを減らせます。
離脱理由が分からないこともある
離脱したユーザーから、
「いったん解約します」
「今回は解約します」
とだけ言われるケースもあります。
この場合、
解約したことは確認できますが、なぜ解約したのかは分かりません。
直前に、
- 「少し高い」
- 「この機能があると便利」
- 「忙しい」
- 「最近あまり使っていない」
と話していたとしても、
それだけで理由を確定するべきではありません。
分析結果が、
現時点では離脱理由を確認できない
になることもあります。
原因分析では、
分からないものを無理に埋めないことも重要です。
継続利用者との比較も使う
離脱者だけでなく、
継続しているユーザーを見ると原因候補を検証しやすくなります。
たとえば、
- 同じ価格でも高頻度利用している
- 同じ機能不足でも継続している
- GmailやSlackを併用しながら継続している
- 同じ業種でも利用頻度が違う
といった反対事例です。
ただし、
継続者は毎日使っている
=毎日使えば必ず継続する
とは言えません。
比較から分かるのは、
仮説を強めたり弱めたりする材料までです。
代替手段へ戻ったことの意味も決めつけない
離脱後に、
- Gmail検索
- Slack検索
- スプレッドシート
- 自分用メモ
- 既存の案件管理表
へ戻ることがあります。
これは、
代替手段の方が優れていた
ことを意味するとは限りません。
たとえば、
- 追加料金がかからない
- すでに習慣化している
- 利用頻度が低ければ十分
- 新しいツールを開く必要がない
といった理由も考えられます。
そのため、
「何へ戻ったか」だけでなく、
なぜそれで十分になったのか
まで確認する必要があります。
離脱分析で確認したい順番
実際には、
次の順番で整理すると原因を混同しにくくなります。
1. 利用開始から停止までを時系列で並べる
- 利用開始
- 初期設定
- 初回利用
- 再利用
- 継続利用
- 頻度低下
- 利用停止
- 解約
を整理します。
2. 利用が弱くなった場所を見る
どの時点から利用が変わったかを確認します。
3. 離脱前に何が変わったかを見る
- 案件数
- 顧客数
- 担当業務
- 社内方針
- 競合利用
- 価格認識
- 利用機能
などを確認します。
4. 本人が理由を明言したか確認する
明言がなければ、
確認済み理由にはしません。
5. 発言と行動を照合する
言っていたことと、
実際の利用行動が一致しているかを確認します。
6. 継続者や反対事例を見る
原因候補を一般化しすぎていないか確認します。
7. 証拠の強さを分ける
- 確認済み
- 比較的有力
- 一部支持
- 仮説
- 支持できない
に分けます。
WorkPaletteで離脱原因を整理する
こうした分析は、
一度に「なぜ離脱した?」とAIへ聞くより、
段階を分けた方が整理しやすくなります。
WorkPaletteでは、
まず「利用離脱原因切り分け」で、
- どこまで利用されたか
- どこから利用が弱くなったか
- 原因として確認できていること
- 原因候補
- 反対事例
- 未確認事項
を整理できます。
そのうえで、
個々の離脱ユーザーを詳しく見る場合は「解約・利用停止理由分析」を使います。
こちらでは、
- 本人が明言した理由
- 発言と行動の一致
- 離脱前後の変化
- 代替手段
- 継続者との違い
- 離脱理由の証拠強度
を整理します。
つまり、
利用離脱原因切り分け
↓
解約・利用停止理由分析
↓
必要な改善判断
という順番です。
最初から値下げや機能追加を決めるのではなく、
まず離脱理由を切り分けます。
まとめ
顧客が使わなくなったり解約したとき、
最初に「なぜ?」と原因を決める必要はありません。
まず確認したいのは、
- どこから利用が弱くなったか
- 利用停止前に何が変わったか
- 本人は何を理由として明言したか
- 発言と行動は一致しているか
- 継続者との違いは何か
- 反対事例はないか
- 何がまだ分からないか
です。
特に、
解約した=価値がない
高いと言われた=価格が原因
機能要望があった=機能不足が原因
競合へ移った=競合の方が優れている
とは限りません。
離脱理由を正しく見るには、
結果・発言・行動・環境変化を分けて整理することが重要です。
原因が確認できてから、
はじめて値下げ、機能追加、オンボーディング改善などの施策を検討します。
